放射性物質による人体への影響は、重金属としての悪影響も大きいのだろうか?

放射性物質の人体への影響、放射性物質がほとんど重金属である点を考慮すると
放射性物質の人体への害 = 重金属としての害 + 放射線による害 
このように考えられる

重金属1分子(実質的にはイオンかもしれない)が、人体では細胞内の酵素1つを無力化することで
重金属による人体への害を意味しているとすると、放射性物質の場合は
放射性物質1分子(実質的にはイオンかもしれない)が、重金属として酵素1つを無力化することと
放射線による影響、これも酵素をいくつ破壊するか、ということから
おおよその影響が理解できるのかもしれない

もっとも放射線は DNA も破壊するので、放射性物質の方の実態としては
このようにして推測したより大きな影響が出るだろう

α線で数マイクロメートル、β線で数ミリメートル、ガンマ線はほとんど無視できるかもしれない
α線の場合、経路上にある物質はほとんど破壊される
β線の場合、経路上の物質はまばらに破壊される

概して、重金属と比較するととても大きな被害となることは想定できるが
放射線を発するタイミングがランダムであり、放射線による影響は経過した時間に比例して
大きくなってくる、という点が身体への影響をわかりにくくしている

放射性物質の半減期はわかっているので、放射線を発する原子核の割合も計算可能
1日あたり、など時間を区切ることで放射性物質による人体への影響を
放射性物質(体内総量)の重金属的影響 + 放射性物質(体内総量×割合)の放射線による影響

半減期30年の放射性物質の場合、1日で放射線を出す原子核の割合は 0.014%(概算)
放射線1本の影響は放射線のエネルギーによりさまざまで、数メガeV の放射線であれば数万の分子を破壊することもあり得る
半減期30年程度の放射性元素は非放射性の重金属の (原子核あたり)数倍〜数十倍程度 の悪影響を与える可能性を持っている

一方で半減期の長いウラン238のような放射性物質は、悪影響のほとんどが重金属としての性質に由来する可能性が高い
ほとんどの放射性物質は、放射線を出した後も重金属であり続ける点にも留意すると
長期間継続的に放射性物質を摂取することによる影響は、重金属としての悪影響も大きいといえるだろう

物理学者が放射性物質の人体への影響を「放射線だけ」に限定したために間違えたといえる
原子力発電所の事故が人体に大きな影響を与えるのは、環境中に放射性物質を大量にばら撒くことと
その放射性物質は崩壊の過程で微小な粒子になり、生態系に取り込まれやすいという点も大きいのではないか