「受容」とは、快不快に関わらずに体験をそのまま認めることです。実はこれは「あるこ
とモード」と同じことになります。これまで述べてきたように、マインドフルネスの実践
とは、「三毒を生まない」「二の矢を受けない」「あることモードへシフトする」ことで
した。そこでは体験が不快な場合は嫌悪が苦しみを生んでいました。体験を認めずに、何
とかして変えようとしたからです。それに対して、受容はたとえ体験が不快だとしても、
そのまま認めることなので、体験を変えようとはしません。そのため、やがて嫌悪は弱ま
り、無力化していきます。結果的に、「三毒を生まない」「二の矢を受けない」「あるこ
とモードへシフトする」ことになります。「苦しみからの解放」へと導くことになるので
す。それほどこの「受容」は重要なものなのです。

以下に、マインドフルネス関連の本から「受容」について述べられたものを、参考までに
いくつか引用してみます。

「Acceptance. This is not about passive resignation, tolerating social injustice,
or wrongs that need to be righted. Acceptance means that we acknowledge what’s
happening in the present moment―not because we like it, but because it’s
already happening.
(受容。これは、受身的な諦めや、社会的な不公正、あるいは正されるべき過ちを容認す
るということではありません。受容とは、今この瞬間に起きていることを認めるという意
味です。それは起きていることが好ましいから認めるのではなく、すでに起きているから
認めるということです。)」
("Masters of Mindfulness" by Rick Hanson, Kristine Carlson, Juna Mustad, Mike
Robbins, Amishi Jha, Elissa Epel, Jessica Graham, Dacher Keltner, Wallace J.
Nichols, Daniel J. Siegel, p.17)