ニューエイジについてのキリスト教的考察』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 この本、「教皇庁 文化評議会/教皇庁 諸宗派対話評議会」というところが執筆し、2007年に出版されたのですが、要はローマ法王のお膝元、カトリックの総本山たる教皇庁が、近年の「ニューエイジ」ブームの蔓延に警鐘を鳴らすべく、世界中のカトリック教会の運営者たちに対して、そもそもニューエイジってのは一体何なのか、それはどういう状況下で発展し、どのような手法で信者数を拡大させているのか、それに対して我々カトリック側としてはどのように対処し、人々がこの邪宗の魔の手に陥らないようにするにはどうすればいいか、そのためにどのような理論武装が必要なのか、ってなことを論じたものであります。

 その時点で、もうすごいよね・・・。教皇庁ってのは常に現代の、そして世界の信教情勢に目を光らせていて、カトリックの対抗馬になりそうな勢力が現れた時には、それを分析し、それにどう対処すべきかを検討し、対処法を確立した段階で世界中に散らばっている教会に対して指示を出すわけですから。あいつら、本気だ。

 で、教皇庁曰く、「多くのニューエイジの伝統を調べてみると実際にはニューエイジの中に新しいものはあまりないことがすぐに分かります」と、のっけから挑発的な分析ぶり。ニューエイジの秘教主義(エゾテリスム)的傾向ってのは、初期キリスト教のグノーシス主義に源があるし、またそれは宗教改革の時代に発展、さらに18・19世紀の自然科学の発展と並行して成長し、とりわけダーウィンの進化論の受容によって現代社会に土台を築いたのであって、その意味では本筋のキリスト教の亜流として、つねに「そこにあった」ものであると。

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