堕天使としてのアザゼル[編集]

アザゼルまたはアザエル (Azael, Azzael) は『第一エノク書』などの黙示文学やラビ文学において堕天使として登場する。この天使はアシエル (Asiel, Assiel)、アゼル (Azel) とも表記される[4]。

『アブラハムの黙示録(英語版)』では7つの蛇頭、14の顔に6対の翼をもつとされる[4]。

エノク書[編集]

旧約偽典のひとつであるエチオピア語の『第一エノク書』によれば、
アザゼルは人間の女性と交わる誓いを立ててヘルモン山に集まった200人の天使たちの一人で、その統率者の一人であった(第6章)。

200人の天使たちは女性と関係をもち、女たちに医療、呪いなどを教え、女性たちは巨人を産んだ(第7章)。

アザゼルは人間たちに剣や盾など武具の作り方、金属の加工や眉毛の手入れ、染料についての知識を授けた(第8章)。

神の目から見れば、アザゼルのしたことは「地上で不法を教え、天上におこなわれる永遠の秘密を明かした」ことであった(第9章)。

神はラファエルにアザゼルを縛って荒野の穴に放り込んで石を置くよう命じた(第10章)。

エノクは縛られて審判を待つアザゼルを見て声をかける(第13章)。

天使の言葉のなかでアザゼルが堕天使の頭目として言及される。第69章では堕天使たちのリストの10番目にその名が挙げられている(第54・55章)。