「ささ、こちらへ、」
廊下への障子の隙間からあたりをうかがっていた家臣は、すぐに来たもう一人と共に、上野介をいざない、安全な方へと連れて行った
…が、見つかるのも時間の問題だろう
上野介は、覚悟を決めた
自分は、死ぬまでお上に逆らうことはできない
もし、何か真相をしゃべるような事があったら、赤穂のようにお家断絶、上杉に養子に出した息子一族さえ、罪に連座する
無い無い、絶対に無い、
自分がしゃべることは絶対に無い
そして、好都合、こうしてむしろ赤穂藩士達がわしの首を取ってくれるなら、もう、間違っても告白する心配をしなくてよい、むしろわしは幸運じゃーー、
浅野殿、お主は一瞬の苦しみであったが、わしには長い年月であったぞよーー、
こう自戒すると、上野介は家臣の後に従った