…と言いたい所なのだが、そうは行かない
大石内蔵助は、本懐を遂げたはずなのに、どこか暗闇にいる気がした
目の前に倒れる白い着物姿の吉良の遺体、そして離れて置かれた首を見るにつけ、疑問がわき上がった
嬉しいはずなのに、どこか浮かない
他の浪士達は、喜びをかみしめている
どこか不手際でもあったのか?!
しかし、吉良方の足軽に確認させた時点では、お館様に間違いございませぬ、との事だった
何もあろうはずがないーー、
てきぱきと指示を出す大石は、極力疑問について考えないようにしながら、事前の手はず通りに浪士達を従えて行った