☆それから、イエスはまたツロの地方を去り、

シドンを経てデカポリス地方を

通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。

すると人々は、耳が聞えず

口のきけない人を、みもとに

連れてきて、手を置いてやって

いただきたいとお願いした。

そこで、イエスは彼ひとりを

群衆の中から連れ出し、その両耳に

指をさし入れ、それから、つばきで

その舌を潤し、天を仰いで

ため息をつき、その人に

「エパタ」と言われた。

これは「開けよ」という意味である。

すると彼の耳が開け、その舌の

もつれもすぐ解けて、はっきりと

話すようになった。

イエスは、この事をだれにも

言ってはならぬと、人々に

口止めをされたが、

口止めをすればするほど、かえって、

ますます言いひろめた。

彼らは、ひとかたならず

驚いて言った、

「このかたのなさった事は、

何もかも、すばらしい。

耳の聞えない者を聞えるようにしてやり、

口のきけない者を

きけるようにしておやりになった」。

マルコによる福音書より