ある日のこと、少年の通う学校に女の子が転校して来た。自己紹介で名前を「倫子」と書く

先生はそれを読めず、りんこちゃん?と言うが、のりこだと女の子は言う
それを聞いて少年は、りん子りん子とからかい始め、女の子はアダ名がりん子になった

りん子はすぐに少年のグループに溶け込むと、執拗に少年を遊びに誘うようになり
少年の家にも遊びに来ていたが、少年は女の子が実体化できるほど霊力がある亡者と気づく
女の子は裏山の崖の下にお地蔵さんが落ちてるから、影の上に拾い上げて欲しいと願う
それは子供の地蔵で小さいものだったが、少年にとっては重たく、背負うのが精一杯で
なかなか崖の上まで運べないでいた。崖の上には、もう一体大きな地蔵があった

数日をかけて地蔵を運ぶ少年と女の子、時には亡者を嫌う犬に襲われ、それを追い払い
時には通り道の山寺の住職に、その娘が亡者だと気付かれ、行動を共にするなと戒められ
それでも2人はせっせと地蔵を運び、そして次第に2人は恋心に芽生えていった

そして遂に、大きい地蔵の懐に小さい地蔵を納めることに成功すると、その女の子は
「お母さん!」と言って大きい地蔵にしがみつく。それは死んだ母娘の2体の地蔵だった

その時代よりも100年ほど前に、そこには貧しい集落があって、女の子は身売りされ
母親と泣き別れしており、吉原で下働きをしていたが初めて客がつくと逃げ出してしまい
自分の集落まで帰ろうと山を登ったところで、追っ手に見つかり、崖から落ちて死んだ
その話しを聞いた母親も、娘の供養の小さい地蔵を抱き抱えながら寒さの中で死んでいた

2体の地蔵が元の姿に戻ると、女の子は少年にキスをして、一緒に天国に行こうと言う
少年は亡者と長く一緒にいたため痩せ細っていたが、それを快く承諾し、身体から抜ける