若い娘の亡者は、20歳まで生きれないと宣告された病人で、ずっと入院していた

窓の外を眺めるだけで外に出られない日々。そして遂に死んでしまうと、少年の前に来た
その娘は、1人の男に会いたいと言う。そしてその男を探しに街まで行くが
その男は身体に入れ墨を入れ、ケバい女と一緒に暮らして、喧嘩っ早い感じだった
娘の亡者からの伝言を言うも、娘の父親の嫌がらせと勘違いされ、少年は殴られてしまう

病院の改修工事があった時期、病院から出れない娘は、そこで1人の鳶職人と仲良くなり
外出禁止を無視して、その男の誘いで祭りの日の夕方に神社まで出掛けていたのだ
夜も暗くなり、熱も上がって体調が悪化したが、初めてきた祭りが楽しくて
その男と一緒にいる時間が楽しくて、心配する男がもう帰ろう?と言っても聞かず
そのまま倒れ込んで病院に運ばれ、そして後日、彼女は死んでしまっていた

娘の父親は、その鳶職人の男が無理強いして連れ回したと思い、怒り狂って男を殴りつけ
その男は仕事を辞めて、ヤクザ稼業に手を染め、その街のアパートに住んでいた

少年が男に殴られ、揉み合いになった拍子に、タンスから一本のかんざしが落ちる
それはその男が娘にプレゼントしたもので、娘の父親が男に投げつけて返したもの
娘の亡者は、そのかんざしを墓標に一緒に埋めて欲しい、と少年に願い出ていた
一生に一度のデート、一生に一度の恋の想い出、せめてそれだけを墓標に埋めて欲しかった

少年が「そのかんざしはお前があの娘にやったものだろ?」と聞くと、男は静かになり
娘の墓は何処にあるかを少年に聞き、そのかんざしを自分で埋めに行くと言う

そして墓前で、娘の亡者はその男に声を掛ける。「ありがとう。凄く楽しかった」
そして男は言葉を返す。「そうか、今度は何処に行きたい?」娘は言う「何処でもいい」

そして娘の亡者は成仏した