食事の不満も「主への感謝が足りない」と取り合われず


――そのほかに、Aさんが学園生活の中で印象に残っているのはどんなことですか?

A とにかくごはんがマズいことですね。
学園創立に合わせて信者がつくった会社に、調理を任せていたようなのですが、メニューのレパートリーが少ないうえ量も少なく、どの料理も脂ぎっていて本当にマズかった。
寮の大人たちに食事の文句を言っても、「主への感謝が足りない」「信仰心が足りない」と受け入れてもらえなかったのもつらかったですね。
同級生の子が、親に食事のマズさを親に訴えたら、「学園ができたこと自体が素晴らしいのだから、そういう文句は言わないでおこうね」って、丸く抑え込まれたそうです。

――成長期である10代にとって、食事がおいしくないというのは切実な問題ですよね。

A 自分の部屋でお湯は沸かせたので、みんなカップラーメンを買い込んで食べていました。
でも、夜中におなかが空いて涙が出るんですよ。
親にこうした実情を訴えてもわかってもらえず、一度、どうにも耐えられなくなって、寮の大人たちにも友達にも内緒で、実家に帰ったことがあります。
でも、親に「みんなエル・カンターレ様のために頑張っているのに、あんたは何やっているの」「本当なら、私が行きたいくらいの素晴らしい学園なのに」と怒られて、「帰りなさい」と殴られました。
学校にも電話をされて、次の日の朝一で学園に帰されましたね。

――学園で過ごした3年間を今振り返ると、どのように感じますか?

A 宗教の授業とお祈りがある以外は一般的な高校とほとんど変わらないのですが、世界宗教として幸福の科学の名を広め、学園の名前も広めるために、いい大学へ行け、とにかく勉強しろ、という圧がすごかったです。
「若者が一番にやることは勉強だから、恋愛も、エッチな本も必要ないよね?」「ごはんがマズいだなんて感謝が足りないんじゃない?」という感覚の大人たちに囲まれた学園生活……私の心は限界でした。

(第4回につづく)

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