七 もしもニルヴァーナが有(存在するもの)でないならば、どうして非有(無)がニルヴァーナであろうか。有が存在しないところには、非有(無)は存在しない。

八 またもしもニルヴァーナが無であるならば、どうしてそのニルヴァーナは【他のものに】依らないでありえようか。
  何となれば、【他のものに】依らないで存在する無は存在しないからである。

九 もしも【五蘊、個人存在を構成する五種の要素を】取って、あるいは【因縁に】縁って生死往来する状態が、縁らず取らざるときは、これがニルヴァーナであると説かれる。

一〇 師(ブッダ)は生存(J註:原語で有の意もあるとの事)と非生存(J註:原語で無の意も)とを捨て去ることを説いた。それ故に「ニルヴァーナは有に非ず、無に非ず」というのが正しい。

一一 もしもニルヴァーナが有と無との両者(有にしてかつ無)であるならば、それでは解脱は無でもあり、また有である【ということになるであろう】。しかしそれは正しくない。

一二 もしもニルヴァーナが有と無との両者(有にしてかつ無)であるならば、それではニルヴァーナは【他のものに】依存しないで成立しているのではない【ということになるであろう】。
   何となれば【有と無との】両者は【他のものに】依存して成立しているからである。