ヴァイオレットも、精神医学では「社交不安障害」と診断されます。しかし、彼女の障害の背景には、「死別した母親も、社交不安障害だった」という思い込みがありました。
実際は勘違いだったのですが、「自分にも病気が遺伝している」という自己暗示が、彼女を縛っていたのです。

こうしたネガティブ暗示で、不幸になってしまっている方は、当院に来られる方の中にも多くいらっしゃいます。

また、ここではネタバレさせませんが、クライマックスの舞台で彼女が恐怖心を克服するシーンも見ものです。

そのシーンに関連して、恐怖を感じているものを克服する「暴露療法」という方法をご紹介したいと思います。それは、本人がストレスに感じているものに少しずつ挑戦するというもの。
例えば、電車でパニックになる人は、乗る区間を一駅ずつ伸ばして行きます。スピーチが苦手な人なら、話し相手を1人、2人、3人……と増やしていきます。

エマーソンというアメリカの有名な思想家の名言で、「あなたが恐れていることをしなさい。さすれば、恐怖は必ず消え去ってく」というものがあります。
その言葉の通り、恐れていることに、少しずつでも挑戦することで、案外、恐怖心が消えていくということがあります。

他には、以下のような映画がオススメです。

プリティ・プリンセス(★★★☆☆)……スピーチ恐怖で劣等感の塊の女子高生(アン・ハサウェイ)が、最後にはヨーロッパの王女になる現代版「シンデレラ」物語。

青い鳥(★★★★☆)……ある日、某中学校に赴任してきた吃音症の教師(阿部寛)が、生徒たちのいじめ問題に取り組み、人生で本当に"大切なこと"を問いかけた意欲作。