もう一つ気になるのは、同居している開祖、橘カオルとの関係である。
橘は深見より十七歳年上。初老に近い五十九歳だというのに、
深見が若い女性と仲良くしているとやきもちをやくという。
そういう光景は何度となく目撃されている。

深見にとって橘は霊能者、その橘から「女性と性行為に及べば、
あなたの霊的な力はなくなってしまう」とクギをさされた。
だから深見はレイプまではしないのだ、と推測する人もいる。

だがそれより、深見がいないところで、橘が深見をくさす言葉、
「歩く幼稚園」にヒントがあるように思える。
深見が本で語ったところによれば、
十五歳のときから不犯の誓いを立てたという。
今年まで会員だった女性が深見のことを調べたことがある。
深見が昔よく話したというある神社の宮司が、こう教えてくれたという。

「深見さんの親父は、よく暴力をふるった。
殴られたのはお袋さん。何とか、彼は救いたいと考えたようだ。
家庭の愛に恵まれず、そのため極度のマザーコンプレックスになった
(実際、深見は橘のことをマミーと呼び、
実母のことを大ママと呼んでいる)。発育が遅く、
中学校から高校生にかけて背も低く、好きな女性ができても、
相手が大きいので誰も相手にしてくれなかったらしい。
そこで、女性に子どものように甘えたいという気持ちの一方で、
恐怖心も生まれたようです。かわいそうな人だ」

十五歳のときに不犯の誓いを立てたのが事実だとすれば、
それは女性に対するコンプレックス(複合心理)
のせいではないだろうか。
それが、性の発達とともに歪なものになったのではないか。