深見が財布をもっていないのは事実のようだ。
これには訳があって、深見が行動する場合、
お付きと称する秘書が常について回る。
必要なお金は常に秘書が支払っているのである。
もちろん、領収書は発行してもらう。
宛名は、コスモメイトか現在申請中の「皇大神社様」である。
深見が海外から買ってくる会員のお土産もそうだ。

深見はどこに住み、どんな暮らしをしているのか。
西荻窪駅の南口から歩いて五分のところに、
コスモメイトの会員が集まるマンションがある。
救霊を施す場所でもあり、宿泊施設にもなっている。
近くには幸福の科学の事務所もある。
そこから、歩いて十分の西荻窪四丁目のやや奥まったところに、
表札のでていない、赤レンガづくりの瀟洒な家がある。
周囲に大きい屋敷が多いためか、それほど目立たないが、
それでも敷地面積は約百坪、建物の床面積は約六十坪だ。
ここに橘カオルと共に暮らしているのである。
料理、洗濯、掃除は会員の中からとくに選ばれた女性が行っている。
修行の一つだというが実質は女中にすぎない。
ほとんどの会員はこの家の存在を知らされておらず、
発覚した場合に備えて「コスモメイトの研修所」ということになっている。
事情を知っている人は椿邸(つばきてい)と呼んでいる。
貸家だが、家賃は月二百四十万円だ。

生活費は肉、魚などの料理の材料から
橘カオルの服に至るまで、すべて「皇大神社」もちだ。
コスモメイトに月に三回、新宿・伊勢丹から
支払い請求がくるのは、椿邸がツケで買ったものである。
その額は月に三十万円、多いときには百万円だ。
橘の口癖は「高級品を使う人のところには高級な霊が降りる」
というもの。したがって、料理の器も「コペンハーゲル」など
一流ブランド品ばかりだ。要するに、
みんなから集めたお金で開祖と教祖はいい暮らしをしているのだ。
セミナーに登場するときの深見の背広は三十万円から
五十万円する高級品ばかり。それもセミナーに参加する
人たちのお金の中から支払われたものだ。