この文章を読めば、普通の人であれば
「この宗教団体、アルバイトまでさせてお金を払わせる気だな」
と警戒するだろう。ところが、深見青山を信じきっている人は、
この文章をそのまま受け取ってしまう。
そして、深見がいう「物施(お金を出すこと)に励めば励むほど
功徳を得られる」をそのまま信じ、せっせと神法悟得会に参加し、
数々の秘法を受け、お金を注ぎ込むわけだ。
元会員が苦笑しながら、話す。

「信じているときは、まったく疑うようなことはしませんでした。
何しろ、信じていたのですからね」

信じることは楽しきことであり、滑稽でもあり、お金がかかるものらしい。

深見青山のやり方の特色の一つは、
会員が騙されたと気がついても、
被害者意識が生まれないことにある。
統一教会であれば、洗脳されて壷を売る人はともかく、
壷を買わされたという被害者はいる。
それに、壷という物的証拠もある。
しかし、コスモメイトの場合、神界グッズなどを
別にすれば物証はないし、だいいち会員はそのときには
納得して三百万円、五百万円と出費している。
一億円注ぎ込んだ会社の社長も、
「今から考えると、騙されたと思いますが、
あのときは家族の病気がよくなるだろうと
信じてお金を出していましたから。裁判といっても・・・」
と諦めているのである。

ともあれ、会員は物施に励み、毎年コスモメイトに
百億円近くの現金が転がりこむようになった。
これを深見青山は何に使っているのだろうか。

深見は言う。「事務所の維持に、お金がかかるし、
それに盲人ゴルフ協会などに寄付しています」。
これを受けて、日本女子大の島田裕巳助教授は
「深見は盲人ゴルフの普及などにつとめ、社会に対する
貢献を考えている」(『文芸春秋』九三年一月号)と書く。
はたして、そうか。