心も運もカネで買える時代

そうはいっても、救霊代に十五万円も払う心理は理解しにくい。
その疑問に元会員たちが答えてくれた。

「目に見える物質社会とは別のものを求めているにもかかわらず、
僕たちの気持ちの中に、消費社会は溶け込んでいます。
それで、十五万円でも、悪霊を除いてもらえるんだからと、
高いとは思っても、それほど躊躇することなく払ってしまうのです」

深見の本に共鳴し、会員になり、救霊を受け、
深見青山を超能力者だと信じれば、
そのときからお金の続く限り出し続けることになる。
頭がよくなる秘法であれ、美女になれる秘法であれは、
たまた縁結びの秘法であれ、信じた深見青山先生が
授けてくれるのだからと疑うことはしない。
実際、十九人から共通して受ける印象は、
心配になるほど純粋で真面目という感じであった。

コスモメイトが発行しているパンフレットに
『会員のための心得帖シリーズ』がある。
功徳とお金の関係について説明してあるところを要約すると、次のようになる。

「たとえ三百円のお玉串であっても、
必死に祈れば絶大な威力を期待できるものなのです。
しかし、この現代の日本で、本当の意味で貧しい人と
いうものがいるものでしょうか。
どう工面しても三万円、六万円といったお玉串さえ出せない
というほど貧しい人がそれほど大多数を占めているでしょうか。
一応暮らしていけて、それなりの遊興費はとっておいて、
アルバイトする時間もあるけれど何もせず、
それでお玉串にまわす余裕がないと言って、
懸命にお祈りしても、神様は動きません。
だいたいその人の生活レベルでちょっと痛いというくらいの、
一般より少々多めのお玉串をする必要があります。
なぜなら、ゆとりのある方が安いお玉串ですませようと
するのは神様に対する侮辱なのです。」