新興宗教に詳しい日本女子大学の島田裕巳助教授によれば、
「大学のサークル的な役割をコスモメイトが引き受けているのでしょう。
集会では、教祖である深見氏自らが歌を歌ったりする。
儀式的な内容のものではなく、若い人を中心に楽しくやる
というのが基本にあるんです。
神道には厳しい教義がありません。
コスモメイトは、組織として何かをやるとか、
布教活動を行うということもない。
そうした楽しさや明るさ、気楽さといったものが
今の若者の心を掴んでいるのでしょうね」
現世ご利益的なイメージを与えたことも、
信者を集めた理由であるという。

姫の役目

正会員になるためには、入会金が五千円で、月二千五百円。
深見青山氏は「六大神通力」なる霊能力と超能力を用いて悪霊を払い、
善霊を呼んで、運を開いてくれるそうだが、
そのたびに高額の料金をとられることは、新興宗教のご多分にもれない。
とはいえ東京都杉並区に本部を置き、全国二十四カ所に支部を持つ
『コスモメイト』は、宗教法人ではない。
静岡県下に神社を建設し、宗教法人の認可を申請中とはいえ、
目下のところは社員百人あまりを抱える株式会社なのである。
宗教グッズを販売し、それ以外にも関連会社を設け、
学習塾や占い喫茶の経営、ファッション時計の販売などを手掛けて
商売繁盛というのだから、宗教家というよりは、
たいした経営者といわざるをえない。

そしてやっていることといったら、一般の会社の上司が部下の女性に
手を出すのと何ら変りはないようなのだ。
昭和六十二年に入会した川井晴子さん(三一)=仮名=は、
住宅メーカーを退職して、平成三年に『コスモメイト』に入社。
年齢よりも落ち着いて見える彼女は、
本部で総務関係の仕事に就いていたのだが、
「コスモメイトに引かれて入ったものの、
中に入ると何か殺伐としていて雰囲気がちがうんですね。
それで辞めたいといったら深見に呼び出されたんです」
それが昨年七月十四日の深夜のこと。