1.政教分離は"国家"から"宗教"を守るため

まずは、「政教分離」が明記された憲法20条をおさらいしたい。この条文は「信教の自由」を定めたものだ。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」(憲法20条1項前段)
「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」(同条項後段)

これを読めば、「信教の自由を保障する。ただし、政治権力が特定の宗教に特権を与えたり、権力を行使して弾圧したりしてはならない」という意味であることが分かる。

規定の背景には、明治政府の国家神道路線によって、数々の宗教団体が弾圧された「負の歴史」がある。残念なことに、新興宗教のみならず、伝統宗教の仏教も弾圧された。そのため、信教の自由を守るために、20条が規定された。