注意しなければならないのは、アリソン教授が単なる学者ではなく、数十年にわたって国防総省のアドバイザーなどを努めた実務家でもあることだ。

トランプ政権は、昨年12月に発表した国家安全保障戦略(National Security Strategy)で、中国を「戦略的な競争相手」と位置付けたことから、キッシンジャー=アリソン的国際政治観から一歩抜け出した。

ゆえにアリソン教授の主張は、必ずしもトランプ政権の外交政策そのものであるとは言えない。
だが日本人は、ワシントンに、アメリカと中国で世界を二分すれば世界は平和になるといった国際政治観が深く浸透している現実から目を逸らしてはならないだろう。