ニューヨーク市内なんだが、
なんだが蒸し暑い。
風も無い。
曇り。
75度。
19年前の今日は火曜日だった。
俺は地上にある地下鉄の駅で、
NYpostのスポーツ欄を読みながら、
電車が来るのを待っていた。
通勤電車だ。
朝の9時過ぎだった。
遠くに、
ワールドトレードセンターがうっすら見える。
そのてっぺんから煙が出ていた。
火事なんだろうか?
火事ぐらい珍しくも無い。
プラットフォームでは、
誰も騒いでいない。
ごく普通の火曜の朝だ。
雲ひとつない快晴だった。
電車の中でビジネスマンが、
ビックリした表情で、
携帯電話で話している。
当時はまだ、
携帯電話があまり普及していなかった。
電車の1車両に40人ほど乗客がいたが、
携帯電話を持っていたのはほんの数人だ。
CNNで生中継を見た家族からの電話だった。
近くのビジネスマンに俺は聞いた。
やっぱりテロだったんですか?
そうだよ。
大変な事になってる。
ワールドトレードセンター(WTC)は以前にも、
イスラム過激派のテロで、
一部が破壊された事があった。
だからテロ自体は、
大きな驚きでは無かった。


....つづく