第2次長嶋政権時代、FAで獲得した清原和博が調子を崩したとき、いまこそ二軍に落として、巨人とはこうだということを勉強させろと長嶋本人に助言した覚えがある。返ってきたのは「三顧の礼を尽くして堤さん
(義明オーナー=当時)からいただいた清原を二軍へやるわけにはいきません」という言葉だった。

 清原はああ見えて気が小さい。純粋な男でもある。だからこそ「うまい」「ヘタクソ」と正面切って指導する人間が彼には必要だった。われわれの時代なら川上哲治さん、別所毅彦さん。別所さんなど私の守備を見て
「あんなヘタなショートでは勝てない」と平気で罵倒した。その結果、私には反骨心が生まれた。清原にも川上さん、別所さんのような人がいたら、間違った道へと進むこともなかった。

 長嶋監督時代に始まった、他球団で活躍したFA選手、外国人に依存した編成戦略は現在も続いている