自分の野球人生を大きく変えてくれたのが、97年オフの中日から阪神へのトレードだった。
ただ、トレードが決まっても、当時は中日監督だった星野さんから掛けられた言葉は一切なし。
そうしてもらえたからこそ「絶対に星野さんを見返す。中日戦だけには絶対、負けへん」と強く思うことができたと思う。
だから、中日戦はたくさん死球をぶつけたし、逆にぶつけられた。でも、絶対に痛いそぶりは見せなかった。やっぱり、悔しいから。

 ようやく阪神でレギュラーをつかんだ時に、星野さんが阪神の監督に就任することが決まった。
正直、嫌で嫌でしょうがなかった。その気まずさは、別れた彼女にばったり会う、なんてものじゃない(笑い)。
「ああ、俺はまたトレードに出されてしまうのかな」と毎日が憂うつだった。

 でも、いざ、再会を果たしてみると、星野さんは一切、気まずいそぶりを見せることはなかった。
それどころか「テル、アイツはどうなんや?」と選手のことを度々聞かれて。
日がたつごとに自分の中から嫌な感情はなくなっていったし、いつしか
「星野さんに認められたい。認められるために頑張る」という思いに変わっていった。
今、振り返ってみると、星野さんには「一方的なトレードはしない。
お互いにとってプラスになるから、トレードするんだ」という信念があったと思う。
http://news.livedoor.com/article/detail/14152033/