そこは連なる山々によって周囲の空間とは隔絶された村。平和で穏やかな独自の時間が流れゆくその場所で、彼等はその偽りに気付けなかった。

ある日、突如として少女は死んだ。

そうなる事が必然であったかのように、既に定められた運命であったかのように。月の夜に音も無く、風音に紛れて自然に消えた命の灯火。
それに呼応するように、その時、彼女と親しかった少年の火も大きく揺れるのだった。
彼の目の前に現れたのは死神。死を司るその存在は、少年に"ある取引"を持ち掛ける。

ーー少女が殺される前に"殺せ"。少女を"殺した"もの、その全てを。

そうして少年は、少女が殺される前の世界へと飛ばされた。少女が殺される前に、殺した奴を殺す。それが出来れば彼女の命に再び火が灯される。それが死神との取引。

これは少女の死をきっかけとして始まる、"救う"為に"殺す"物語である。


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