シベルチ山爆発あいつぐ 噴煙120km先へ カムチャツカ半島に火山が多い理由 2019年10月17日 10時59分 @ハザードラボ
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カムチャツカ半島シベルチ山では爆発的噴火があいついでいる。溶岩ドームの崩壊で火砕流が発生している(ロシア緊急事態省)

けさ(17日)、カムチャツカ半島東部にそびえるシベルチ山で爆発的噴火が発生し、噴煙が火口の3000?3500メートル上空に立ち上るようすが、
日本の気象衛星ひまわりの観測画像で確認された。

ロシア科学アカデミー(IVS FEB RAS)のカムチャツカ火山観測所(KVERT)によると、けさ9時すぎ、シベルチ山の山頂火口内で成長を続けてきた
溶岩ドームが爆発し、火山灰を含む噴煙が東南東方向に約120キロ運ばれていくのが気象衛星の観測画像で確認された。

溶岩ドーム崩壊で火砕流も…

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火山灰を含む噴煙の流れ(KVERT)

標高3283メートルのシベルチ山は、カムチャツカ半島でも最も活動が活発な火山のひとつで、今月初めの爆発では、噴煙が海抜10キロに到達し、
溶岩ドームが崩壊して火砕流も発生した。

KVERTの観測員は「溶岩ドームの成長が落ち着く兆しはなく、常に地下から溶岩が押し出されている状態で、今後も噴煙の高さが海抜10?15キロに
到達する規模の爆発的噴火が発生する可能性がある」として、航空カラーコードを危険度が2番目に高いオレンジを維持して、付近を通る航空機に
対し火山灰への警戒を呼びかけている。

火山の博物館

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カムチャツカ半島は火山の博物館と呼ばれるほど、さまざまな火山が存在する。確認されているだけでも289ある(KVERT)

日本の国土より広い47万?の面積を誇るカムチャツカ半島は、松前藩が、藩の領土として「勘察加(かむさすか)」の名前で、
江戸幕府に報告していた経緯があることから、日本とも歴史的関係が深い場所だ。

当時のロシアは中国・新王朝と領土争いを繰り返していた時代で、大陸南下を断念して極東に進攻した先に、
アイヌ民族が住むカムチャツカ半島があった。

東西冷戦時代は外国人の立ち入りが禁止されていたが、ユネスコの世界遺産に登録された1996年以降、豊かな自然の実態が知られるように
なってきた。

千島海溝との関係

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シベルチ山の地形を立体的に表現した3D画像。山頂火口内では、常に地下から押し出された溶岩ドームが成長を続けている
(antonio vecoli@tonyveco)

KVERTによると、カムチャツカ半島には確認されただけでも289の火山が存在し、そのうち地上には177、海底には112の火山が分布している。

活動が活発な72火山は、環太平洋火山帯の約15%を占めており、過去地球上に拡散された火山噴出物の2割近くが半島由来だとされる。

これだけ多くの火山は、噴火様式や地質も異なっていて、「火山の博物館」の名前で呼ばれるほどだが、研究が進められているのは、
シベルチ山などの一部で、72活火山のうち大半は実態解明が進んでいない。

これらの活火山は南北に伸びる半島のうち、ほとんど東海岸沿いに集中している。さらに半島の南端から千島列島に沿うように、
20以上の海底火山が連なっており、これらの火山群は太平洋プレートが北米プレートに沈み込む千島・カムチャツカ海溝にも近いため、
プレートの沈み込み帯で発生する地震と火山活動には関連性があると指摘する専門家もいる。