猛禽類医学研究所の渡邊有希子副代表・獣医師は15日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。

「2004年ごろから、北海道でも風が強い道北の日本海側に風力発電施設が次々に建設されており、そのころから衝突死した個体を冷凍庫に保存しています。
概ね40個体ぐらいがあり、今回は、そのうち20個体の羽を採取して研究するため一時的に出したものです」

ワシが飛ぶルートにも、風力発電施設が設置

毎年、同じぐらいの数のオジロワシが衝突死しており、単純に計算すると、年に3羽が「バードストライク」の犠牲になっていることになる。
ただ、風車の下では、キツネがうろついているといい、オジロワシの死骸は回収しきれておらず、実数はもっと多いのではないかと渡邊副代表は見る。

風力発電施設が多く立地する稚内市、苫前町などでは、上昇気流が流れる丘の上はオジロワシなどが飛ぶルートになっている。
夏に繁殖したワシが冬に北海道で越冬するためにこのルートを渡ってくるが、同時に風が強くて風力発電にも適しているため、バードストライクの悲劇が起きるらしい。

防止策としては、風車にワシなどが認識しやすい色を塗ったり、光や音を出したりする試みはあるが、効果的なものは見つかっていないという。
しかし、ワシが飛ぶルートにあって衝突が多い施設は絞られるため、発電事業者には配慮して運転をストップするように働きかけているとしている。

道北で風力発電施設を設置しているある大手の事業者は15日、バードストライクの防止策について、
「環境アセスメントを実施してワシなどの生態を確認したうえで設置しており、運転開始後も、状況を確認してその都度、個別に対応しています」と取材に説明した。
どんな対応を取るかは一概には言えないとし、施設の運転をストップすることも考えていないとしている。