フォーリン・アフェアーズ・リポート 2019年10月号
日韓対立と中国の立場
―― 東アジア秩序の流動化の始まり?
ボニー・S・グレーサー 戦略国際問題研究所 ディレクター(中国パワープロジェクト) オリアナ・スカイラー・マストロ アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所 レジデントスカラー
https://www.foreignaffairsj.co.jp/theme/201910_glaser/
日韓関係の亀裂を利用しようとする中国の最終目的が何かは明確ではない。韓国にアメリカとの同盟関係を破棄するように公然と促しては
いないし、第二次世界大戦期の残虐行為にペナルティを課す対日キャンペーンを展開するようにけしかけてもいない。
むしろ、日韓関係の緊張をアメリカのリーダーシップの衰退として認識させようとしている。アジアにおける米同盟システムが十分に傷つくほど
に緊張が高まることを望みつつも、日韓関係が完全に破たんしてしまうほど悪化することは望んでいない。とはいえ、北京は、近隣諸国が
中国のことを「アメリカよりも信頼できるパートナー」と位置づけることを望んでいる。もちろん、その結果、東アジアの優先順位とパワーが
大きく変化すれば、アメリカの地域的立場は形骸化し、アジアの戦後秩序は再編へ向かうことになる。

東アジア秩序の終わりの始まり?
日韓衝突に中国はどう動くか
戦後秩序を守り切れるか