【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】
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宮田愛萌さんのブログや「ひらがな推し」やでネタにされている架空空間「スナック眞緒」を舞台とした小説のスレです。
なお、「ひらがな推し」や宮田ブログでの「スナック真緒」での井口真緒さんと宮田愛萌さんはひらがなメンバーとは別人格という設定ですが、
ここではひらがなメンバーであるのかないのかというのは曖昧にします。
タイトルと冒頭と末尾の文は、宮田愛萌さんがブログで書いているのをテンプレとして使いました。
原案や参照にしたものがある場合には、その小説が完了したとき必ず明記します。 スナック眞緒物語#8(その15)
野次馬の一人の美大生がやって来て、「愛萌チャン、大きくなったみたいだね」とカウンター越しに愛萌に話しかける。 こんな鈍い人でも私が成長したことが分かるんだと愛萌が上機嫌になっていると、美大生は愛萌の胸を見ながら続けて言う。
「CカップからDカップになったようだけど、やっぱりブラジル旅行は男と一緒だったの?」 「あなたは無神経なままで全然成長していませんね」と愛萌は怒る。
「甘いな、愛萌チャン。僕に成長を期待するなんて」
「進歩しようとする意欲もないんですか?」 「落ちぶれないだけまし。ほら、いつも酔っぱらって愛萌ちゃんに絡んでくるあのオヤジ、いまアル中で入院しているんだよ」
「最近、見かけないと思ったら、そうだったんですね」 「で、今日の愛萌チャンとイケオヤの対決を報告するようにあのオヤジに言われてんだけど、教えてもいい?」
「好きにしてください」と面倒くさそうにそっぽを向くと、その目の先にはイケオヤが映った。(続く) スナック眞緒物語#8(その16)
イケオヤが座るテーブル席に愛萌がやって来ると、スナック客は一斉に注視する。
「あなたのインスタのフォロワーはインチキですよ」と愛萌はいきなり切り出す。 「無礼な奴だ。証拠を見せろ。いろいろと動き回ったようだが、無駄足だったろ」とイケオヤは言い返す。
「いいえ、証拠ならちゃんとあります。あなたのフォロワーにブラジル人がいますよね」 「はあ?それがいったい何の証拠になるんだ?俺は世界を股にかける一流商社マンだぞ。ブラジル人がいたっておかしくはないだろ」
「お金を支払ってフォロワーを買っていますね」 「いったいどういうことなんだ」と野次馬たちの多くは事情が呑み込めないようだ。
水増しインフルエンサーのことをスナックの客全員に対して愛萌は説明する。 「そういう水増しインフルエンサーというのが世間では行われるとしても、俺がそういうことをやっているという証拠にはならん」とイケオヤはうそぶく。(続く) スナック眞緒物語#8(その17)
「あなたのインスタのフォロワーにラウラさんとミゲウさんという人がいますよね。
私はブラジルにまで行って、そのお二人にお話を聞いてきました」 スナックの客から歓声が上がる。
「すっげー行動力だな」
「いいぞ、愛萌チャン、かっけー」
愛萌は続ける。 「無断でアカウントを使われて、覚えもないのにフォローしていることになっていると仰っていましたよ。
お二人とも裕福ではなく、貧困から抜け出す手段としてインスタを始められていました」 愛萌はスナック客をアジる。
「そういう思いまでも搾取し、お金に換える業者がこの日本にはいるんですよ。 さらにそういう業者から購入して、水増しフォローでお金儲けしたり、その数を自慢したりする浅ましい人もいるんです。
みなさん、そういうのっては恥ずかしいことだと思いませんか?」 「おい、ふざけんな!そいつらが俺から無断でアカウントを使われと言った証拠はあるのか!」とイケオヤは喚く。(続く) スナック眞緒物語#8(その18)
スナックに備え付けのテレビモニターに自分のスマホを愛萌は接続する。
スナックの客全員は愛萌の一挙手一投足を見守っている。 「まずはミゲウさんの証言です」
テレビモニターに愛萌が撮影した動画が映される。本人の喋りの音声の後にソフィアが通訳した音声が少し遅れて流れる。
ミゲウの動画が再生される。 「おい、イケオヤとかいう奴、ふざけた真似するな。勝手に俺のアカウントを使っているなんてふてー野郎だ。
いずれ日本にまで行って、お前をぶっ飛ばしてやる!覚悟しておけ!」 客は次から次に言う。
「面白いことになってきたな」
「旅費をカンパして、この男に来てもらおう」
「一口乗った!」
イケオヤは蒼ざめる。(続く) スナック眞緒物語#8(その19)
「次にラウラさんの証言です。
レアルというのはブラジルの通貨単位で、1レアルは約25円ほどです」
ラウラの動画が再生される。 「私の家はシングルマザーで、母は1本、1レアルのアイスをつくって、生計を立てています。売り上げはよくて月に2000本ほどです」
客の一人が突っ込む。 「おい、おい、月の売り上げが5万円か、そこから、原材料費とかを差っ引くわけだから、
物価が安いにしても、そんなんで家族で暮らしていけるのか?」 ラウラの動画は再生されている。
「貧困から抜け出すように、母は無理して私を夜間高校に入れています。 昼間は私も働きづめで、朝市の終わった後で、食べるために野菜くずを拾って持って帰ったり、
瓶や缶などを集めて業者に売ったりして、生活費の足しにしています」 「貧しさから逃れようとするためインスタを始めた人を踏み台にしてまでフォローの数を自慢したいのか」
「イケオヤ、お前は人でなしだ」(続く) スナック眞緒物語#8(その20)
イケオヤは言い逃れようとする。
「たった二人がインチキだっただけで、他はそうとは限らんだろ」 愛萌は追いつめる。
「そのお二人に関してはインチキだったとお認めになるんですね。
調べた限りでは、架空アカウントでなかったのはそのお二人だけです」 「おい、他が架空アカウントなんてどうやったら分かるんだ」とイケオヤはあがく。
「電話番号もメアドも嘘なんですよ。架空としか考えられません。 そして、架空ではなかったお二人のフォローがインチキだったんですよ」
スナック客は愛萌に味方ずる。 「往生際の悪い奴だな」
「お行儀も悪い奴だけどな」
「もう諦めろ」
「どこまで面の皮の厚いんだか」 旗色が悪くなったイケオヤはトーンダウンするが、観念しない。 「ブラジル人のフォロワーはインチキだったと認めてやる。
だが、それは2万4千人のうちの半分だ。残りの半分は正真正銘の俺のフォロワーだ」(続く) スナック眞緒物語#8(その21)
離れた席で静観していた慶応ボーイが腰を上げ、話し始める。
「それについてはこちらから報告があります。 愛萌はさんがブラジルに行っている間、イケオヤさんのインスタを知り合いにも頼んで調べました」
「やっぱり他もインチキか?」と誰かが言う。 「連絡先が判明した日本人フォロワー50人全てに話を聞きました。すると共通点が浮かび上がってきました。 それは、海外の無料ソフトGramblrを使っているということです」
「なんじゃそりゃ?」と客の一人が尋ねる。 「パソコンでは加工しづらいインスタをスマホと同様にサクサクと動かすというソフトっス。 ただし、その利用規約の中に『Commit a follow to another user with your account』とあります。 要するに、『あなたのアカウントで他人をフォローする場合があります』ということっス」
「こわい世の中ですね」と愛萌はつぶやく。(続く) スナック眞緒物語#8(その22)
「イケオヤさんは二つのSNSフォロワー販売業者を利用したみたいッスね。 一つは、今言ったGramblrを提供している会社と結託した業者で、もう一つは、愛萌さんが調べたブラジル人のアカウントを勝手に使う業者です。 すべてを架空アカウントにすれば信頼性ゼロだから、一部に本物のアカウントを混ぜているのは両業者に共通しているようっスね。 慶応ボーイはスマホを取り出して、文字の書かれた画面を拡大表示して客に見せながら読み上げる。 そのすきを見て、イケオヤは店から抜け出すが、誰も気づかない。 「インスタグラムの運営元のフェイスブック社の見解がこうッス。 第三機関のサービスを使ってフォロワー増加を図るアカウントは今後、規制がかかる可能性がある』」 「その運営元に知らせて、イケオヤのインスタに規制かけろよ」と客の一人が言う。(続く) スナック眞緒物語#8(その23)
慶応ボーイは最後の詰めにとりかかる。 「愛萌さんは貧困にあえぐ人の思いまでも搾取する浅ましさを言っていましたが、それとは別に危険なこともあります。 中東のISはSNSを使って、資金集めや兵隊集めや宣伝をしています。 水増しフォロワーを媒介することで意図せずにそことつながって、そういう集団を後押ししている可能性もあるんっスよ」 慶応ボーイも他の客も一斉にイケオヤのほうに目を向けるが、既にいない。 「いつもなら、愚にもつかないような言い訳で粘り続けるが。今回ばかりは諦めたか」 「愛萌ちゃん、よかったな。あいつから姪っ子と呼ばれずにすんで」 愛萌は慶応ボーイに目礼し、「みなさん、今日はありがとうございました」と全客に言って、胸をなでおろす。(続く) スナック眞緒物語#8(その24)
うまくいったことを愛萌はソフィアに電話で知らせる。 「よかったわね、愛萌。でも、小言を言わせて。
無計画に知らない外国に行くことには慎重になるべきよ。 日本は安全だから、trial and error、つまり試行錯誤が美徳とされているけど、 最初の1回のtrialが取り返しのつかない事態を招くこともあるというのを肝に銘じておいて」 その言葉を噛みしめながらカウンターの奥に目をやると、見守ってくれていた眞緒ママと目が合う。 近くまで来て、愛萌は言う。
「ごめん、ママ、お客さんを一人減らしたかもしれない」 「いいのよ、いいのよ」とママは言う。
愛萌の後についてきた美大生が背後から語りかける。 「甘いな、愛萌ちゃん、あの程度であいつの心が折れると思う? たしかに今日は愛萌ちゃんの鋭い攻撃の刃であいつの分厚い面の皮を壊したけど、 脱皮した後のカニの甲羅は前よりも硬くなるように、面の皮を一段と分厚くするよ。 『愛萌は俺の実の娘だ』と姪から娘に昇格させた物言いをしながら戻ってくるよ」 「私には安らぐ日々はやって来ないんですか?」と愛萌は溜息をつく。 原案は、NHK総合「クローズアップ現代」の「追跡!ネット広告の闇 水増しインフルエンサー」。 ただし、アカウントを勝手に使われたブラジル人の名前は次のように変えた。 「クローズアップ現代」は放送されたものは書き起こししたものがすべてアップされている。 「追跡!ネット広告の闇 水増しインフルエンサー」の回はこちら↓ なお、郵便局による「保険の不適切販売」の回も書き起こしされているはずである。 続編の放送を目指して情報提供をNHKが本腰を入れて呼びかけたが、 郵政側による圧力で断念したといういわくつきの回である。 わずかな文字数しか書き込むことができず、機能不全となっている。 このまま書き続ければ、文字数がどこまで制限されるのかをみていくためにも。 名前欄にも情報を書き、コメント欄にリンク先を示す。 >>948
リンクのアドレスが字数制限に引っかかる日が来ますけどねw >>949
直リンはわりと容量を食うみたいですね。 レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。