青い薔薇の秘密(その8)
でも、翼をもぎ取られ無力となった僕は惨めだった。
もう飛ぶこともできない。僕は大粒の涙を落した。
そのとき、光輝く妖精が現れた。
「薔薇をかわいそうに思ったとき、あなたは憐れみを知ったんですね。今度は私があなたを憐れんであげましょう。
嵐の王は破壊するけれど、私はありとあらゆるものを生み出す力を持っている。破壊する力よりも生み出す力は強いのよ」
そう言って、妖精は僕の肩にそっと触れた。すると、そこから蝶のような羽が生えた。
「さあ、その羽で飛び回ってみて。今からあなたはそよ風となったのです」
そして、妖精は薔薇にも語りかけた。
「薔薇よ、あなたの美しい姿と香しい香りによって、嵐の力を押さえることができました。
そして、何よりの力は和解する力だと示すことができたのです。
嵐の力を押さえるという不可能だと思われていた。でも、私たちの夢をかなえることができたのです。
あなたのその青い色は、生きとし生けるもの全てから祝福される奇跡の証。
あなたとそよ風の物語はこれからそのように語り継がれていくでしょう」(続く)