青い薔薇の秘密(その5)
その薔薇は言った。
「あなたって本当は優しいんですね。私、きっとあなたとお友達になれると思うの」
呆気に取られた僕は黙っていた。
「もしお友達になれるなら、お願いしたいことがあるの。
もっと近くでお日様を見たいの。私を太陽の近くまで運んでくださいな」
僕はその薔薇の根元を土ごと優しく掘り起し、手に取り雲の頂に向かった。
太陽の強い放射を受けて、薔薇が言った。
「熱いし、眩しいわ。でも、とってもいい気持ち。私、生まれ変われそうな気がする」
雲の頂に来ると、嵐の王は僕に激しい怒りをぶつけた。
「何をしておる。地球上の生き物はまだ絶滅しておらぬではないか。さっさと役目を果たせ」
「わかりました、父上。では、この宝物を預かってください」(続く)