スナック眞緒物語♯2(その12)
眞緒ママは驚く。
「え?なに?天女の実在が公式文書に残されてるってこと?」
「他所からやって来た集団がその手の演劇をして、村人が勘違いしたというだけのことじゃないの?」と久美が言う。
「合理的に考えれば、たぶん、それが実相でしょうね。
でも、本当にそうだったのかという確証はないし、村人はそれを現実だと一生思い込んでいた。
つまり、その状況に深くコミットメントしてそのように感じたのなら、主観的にはそれは真実なのです」
これ以上変な話に付き合いたくないといった様子で眞緒ママが言う。
「何かよくわからないけど、ピンポン球の跳ねる音が聞こえたくらいどうってこともないよ。
私なんて、自分の歌声が正しい音程とリズムであるように聞こえるんだから」
緊張が解け、スナック真緒は笑いに包まれた。
今日もスナック眞緒は大繁盛♪(了)