スナック眞緒物語♯2(その10)
眞緒ママがせせら笑う。
「読めたわ。三つ子だったというオチね。久美、アンタ、つまんないわよ」
馬鹿にされたと思って、むきになって久美は主張する。
「三つ子だったというのはたぶんそうだろうけど、それを言いたいんじゃない!
プレイしている一人が、球が逸れたふりをして後ろを振り返って、その子の視線の先にあたしがいたの。
『投げて』と言ったから、しゃがんで球を取るふりをして投げるふりをした。
あたしもすっかり入り込んで、しばらくエア卓球を観戦していた。
そしたら、ピンポン球が卓球台に当たるカツンカツンという音が聞こえてきた。
この音は現実なのかそれとも妄想なのかと訳が分からなくなった。
また、あのコたちは本当に卓球をしているのかその演技をしているのかもわからなくなった」(続く)