スナック眞緒物語♯2(その7)
うんうんとうなずきながら、愛萌が話す。
「フィクションですらそうですから、実際の戦争や紛争の実相というのもそのようなものかも。
おそらくアメリカもシリアも自分たちこそ正義で相手が悪だと信じ込んでいる。
でも、アメリカの価値観を戦後から一貫して押し付けられているので、大多数の日本人はアメリカが善でシリアが悪と思い込まされている。
でも、真実がどうかなんて簡単には判断できない。
だから、悪と思われている側の視点に立つことも必要なんですよ。
『善と悪の価値観が逆になって混乱する』というのはむしろ健全なことですよ」
眞緒ママがにっこりする。
「よかったわ、これにて一件落着ね」(続く)