スナック眞緒物語♯2(その4)
「久美さん、『スターウォーズ』お好きですものね、もう何度もリピなさっているんでしょ」と愛萌が言う。
「うん、そう。もう何度目なのか覚えていないくらい観ている。
でも、その日以来、見方が逆になったの」
「どういうことですか?」
「ダース・べーダー=帝国軍=悪、ジェダイの騎士=反乱軍=善という図式が『スターウォーズ』にはあるじゃない。
あの日のエチュードの印象があまりにも強く、ダース・ベーダーが美穂に、ジェダイの騎士が陽菜に置き換わってしまった。
そうすると、美穂が悪で陽菜が善ということになってしまう。
あたしキャプテンだから、一方だけを悪とするのはよくないと思って混乱してきたの」
「なんか妙な話になってきたわね」と眞緒ママが突っ込む。
「そしたら、『スターウォーズ』でも、もしかすれば真実は違うかもしれない、
ジェダイは無差別テロの殺戮集団で、ダース・べーダーのほうこそが正義のヒーローかもしれないと思うようになった。
『スターウォーズ』なんて絵空事のフィクションだというのがわかっているにもかかわらずよ」(続く)