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その翌朝、埼玉県の某公園に2人の女性の姿があった。2人ともトレーナー姿でキャップに眼鏡着用し、軽く柔軟体操をしている。
しかし、実はこれはカモフラージュである。

小林「いやいや、わざわざこんなところまでリーダー様が直々に御光臨賜るとは全く有り難き幸せでござりまするな」
友梨奈「皮肉を言うなよ」

2人は小声で会話をしている。

小林「あのさ、なんで私がこうして皆と離れて埼玉の田舎に引っ込んだのかわかってるだろ?あの超能力占いババアが私にロックオンしてるから、私が一緒にいたら迷惑がかかるっていう配慮だろうが。
なのにこうしてあんたが来ちゃったら台無しだっちゅうの」
友梨奈「わかってるよ。でも緊急を要する事態になったのでな」
小林「緊急事態?」
友梨奈「紹介してもらった殺し屋の石森が捕まったんだ」
小林「え?…まさか、またあのババアが?」
平手「そうだ。石森の場所を霊視して警察に通報したらしい」
小林「まったく…『霊視除けのサソリのタトゥー入れたから今度は大丈夫っす』とか過信してるからだろ…」
友梨奈「そこで頼みがあって来た」
小林「別の殺し屋を紹介すればいいのか?」

友梨奈はかぶりを振った。

友梨奈「いや、もう時間がない。ゆいぽん本人に来てほしいんだ」
小林「その呼び名やめろっての。でも私が行ったらまたあのババアに見つかってお前らまで巻き添えに…」
友梨奈「だから来るのは当日ギリギリでいい。計画書はこの水筒に仕込んであるから読んでくれ。もう信頼できるのはゆいちゃんしかいないんだ」
小林「わかったよ…でもこの用件なら別にお前が来なくても、ここまで葵に手紙届けさせれば済むことじゃないのか?何でこんな危険を…?」
友梨奈「いや、その程度じゃ、ゆいぽんにきっと断られるから」
小林「だから、ぽんは勘弁してくれっちゅーの(笑)」

友梨奈「じゃ、よろしく」
そう言ってその場を離れようとした友梨奈に、小林が最後に声を掛けた。

小林「おい、ずみこは…最近は…どうなんだ?」

友梨奈は振り返りました。

友梨奈「…玉子粥を食べはじめてるよ」
小林「そうか…」

そう言うと2人は軽く頷き合い、お互い別々の方向に走り去っていった。