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売店職員の言動に何か引っかかるものを感じた友香は、翌日、上司の許可をもらって再び同じ大学にやってきた。
もしも今回の件にこの売店が関わっているならば、何か妙な動きが見られるはずだ、と友香は予想していた。
そこで、女子大生っぽい服装に身を包み、それとなく構内を行き来しながら売店の様子を外から観察する作戦を立てた。
前日のことがあるので、もしも職員に友香の存在が気付かれれば追い払われてしまう可能性が高く、観察は慎重にさりげなくしなければならない。

しかし、10時の開店からしばらく経っても、特に不審な点は見られなかった。
学生らしい人、名札を下げた大学職員らしい人、そして近所から来たらしいおばあちゃん…客が三々五々来ては買い物して帰っていく普通な光景が続く。
11時を過ぎると、大きなトラックが入ってきて弁当類を大量に搬入する。
そして昼休みには客の大行列…

特に変わったことも起こらないままに数時間が経ち、やっぱり無駄足だったかな…と思い始めたころ、
客足の落ち着いた昼下がりの店先に1台の自転車が止まった。

乗って来たのは細身のちょっと色黒な女の子。遠目では一瞬小学生かな?とも見えたが、どうも違うようである。
彼女は自転車の前カゴに入ったたくさんの封筒らしきものから3通を取り出し、昨日の店員と笑顔で二言三言会話しながらそれを渡し、再び走り去っていった。

菅井「(メール便の配達?でも、こうして業者が直接来るものなの?普通は大学の受付みたいなとこにまとめて届けないのかな…?)」

そんな疑問が湧き始めたとき、友香の横を1人の女性が通り過ぎた。

友香「(あっ、昨日の…鈴本さん!?)」

彼女はまっすぐ売店に入っていき、買い物を済ませて程なく出てきた。手には甘栗ビッグサイズと、あのメール便が。

友香「(やっぱりおかしい!きっと何かある…)」

そう感じた友香は思わず売店の方をガン見してしまった。
そして売店職員に視線を気付かれてしまった。

友香「(ま、まずい…)」

そう感じた友香は一旦その日は退散することに決めた。

しかしその翌日から、大学側は突然、関係者以外の構内立ち入りを当面禁止するとの通告を出したのであった。