>>151
売店職員のけんもほろろな扱いに若干凹みながら友香が帰ろうとすると、入れ違いに小柄な女子学生が店に飛び込んできた。
学生だとわかったのは胸の名札に「鈴本」と書いてあったからだ。

鈴本「すいません。実験が押しちゃって…あの、取り置きの…」
斎藤「あ、間に合って良かったわね。はい、甘栗ね。いつもありがとうございます」
鈴本「ありがとうございます。あの、お金は…」
斎藤「今日はレジ閉めちゃったから、明日でいいわよ」
鈴本「ありがとうございます」

そう言うと学生は店のロゴの入った大きめの紙袋を受けとり、来た道を駆け戻っていった。

菅井「甘栗大好きなのね。あんなにたくさん…」

学生の後ろ姿を見送りながらそんなことを考えていた友香は、ふと気づいた。

友香「さっき、売店の人、お客さんの顔も覚えてなければどの子が学生かもわからないって言ってたのに、
あの子のことは顔見ただけで取り置きの袋をすぐに渡して、いつもありがとうって…?」

何か胸騒ぎがした友香は急いで売店まで戻ってみたが、そこはすでにシャッターが閉まり、誰もいなくなっていた。