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翌日からマスコミ各社はこの怪文書をめぐって各所に取材攻勢を始めた。

まずはアイドルグループ乃木坂47。
結成以来着実に人気を伸ばし、今年7周年を迎えたこのグループの周辺では、
以前からネット上に「事情通」を名乗る謎の書き込みが現れ、シングル曲の選抜メンバーなどの前情報をリークすることがたびたびあった。
今回もそのパターンで、乃木坂47でもいわゆる「総選挙」が行われるという発表が1週間後にあるのではないか、との疑いがかけられ
乃木坂駅から程近いビルにあるグループの運営事務所には朝から問い合わせの電話が殺到した。

これに対し事務所側は「グループの今後の活動予定に関しては、正式決定し次第随時発表させていただきます」とのコメントを出すにとどまり、逆に憶測を増す結果となった。

また、同じく駅近のビルの一角に本部を構える宗教法人「なーこ教」にも、取材陣が押し寄せていた。
なーこ教は近年、その一部の狂信的な信者による強引な勧誘が社会問題化し、逮捕者まで出る事態となっていた。
現在、その信者の1人の加藤シホ被告が公判中で、これに対してなーこ教側は弁護士を通じて宗教弾圧だと徹底して抗議を続け、ワイドショーでも取り上げられていた。

そこでマスコミは、
加藤被告が有罪となり「収監」されるような事態にたれば、「占拠」すなわち立てこもりなどの抗議行動に出る、という意味の予告のFAXではないか
という解釈をなーこ教側に問い掛けた。

しかし、詰めかけた報道陣の前に立った教祖・長沢菜々光はそれを真っ向から否定。

長沢「この度の加藤さんの裁判に関しては全く不当なもので今後も厳しく抗議していきますが
なーこ教の理念は、基本、平和主義です。
もちろん不当な扱いをした相手に対してはとことん抗議いたしますが、関係のない一般人を巻き込むことは絶対に許されません。
テロリズムとは最も遠い宗教が、なーこ教です」

若干棒読み気味ながらもそのようにきっぱりと言い放った教祖は、再び本部事務所内へ消えていった。