あれだけの親戚付き合いと仕事と家事と子育てを両立していたからでしょう。
ある時、母が過労で倒れました。
入院して数日間、家に帰れなくなりました。
命を落としてもおかしくない状態だったそうです。
でも、私は何も感じませんでした。
 以前、もしも親が亡くなったら下の子の面倒はお前が見るのだと言われ、通帳や印鑑の場所や頼るべき親戚は誰かを教わっていました。
母が亡くなったらそれを実行する。
せめて高校は卒業しないといけない。
バイトは進学校だから禁止されているが、事情を伝えれば許可が出る。
父の稼ぎは悪くないし、さらにバイトで自分が働けば妹と弟の面倒は見れる。
生活は出来る。問題はない。そんなことしか、考えてませんでした。
 その時の状況を母は「あんただけはいつも通りで全然戸惑ってなくて頼もしかった。妹と弟が頼りにしていた」と言っていましたが、それもそのはずです。
ショックに感じてなどいませんでした。
夜勤で母がいない時などよくあります。その時の生活は、それと何一つ変わらなかったのですから。

 母は回復し、また働きだしました。