中学生になった頃、今までは同じ敷地内の祖父母の家で過ごし、寝る時だけは別宅へ行くという生活が大きく変わりました。
原因ははっきりと露見した祖母のいびりでした。

 仕事の後に勉強会へ出席するため、母はスーツや鞄一式を服屋さんの大きなビニール袋に入れて祖父母の家の玄関に置いていました。
朝の身支度や家事を済ませ、私達兄弟ももうすぐ家を出る。
そんな時、母の大声が聞こえました。
何事かと慌てて玄関へ向かい、様子を窺うと母は祖母を怒鳴り散らし、泣きそうになりながら袋をまさぐっています。
聞いていると、祖母が袋の中にゴミを入れたのだそうです。曰く「袋があったから、ゴミ袋だと思って入れた」と。
しかし、中身はアイロンまでかけられたスーツと仕事用の鞄。子供の私が見てもゴミ袋には到底見えません。
私が母と一緒になってゴミを取り出している時の祖母はいつも通りの顔をしていて、なんだか不安になりました。

 その日の夜。兄弟は別宅へ行かされ、祖父母と父と母は家で何か話し合っていました。
詳しいことは覚えていませんが、私はその隣の部屋で明りもつけず黙って話し合いを聞いていました。
珍しく祖父が大声で怒鳴っていて、普段怒鳴ることはあっても泣かない母が大泣きしていたことは覚えています。
 話し合いの後、私達家族は別宅で過ごし、祖父母とは盆、正月の時以外は別々に風呂・食事を摂ることが決まったと言われました。
話し合いの際、母は今朝のことで祖母を責めました。父は母を庇わず、祖父母の肩を持ったそうです。
母は私に「実家が遠くなければ。子供があんた一人だけだったら、離婚している」と言いました。
この頃から、母は色々な愚痴を私に話すようになりました。