(ミリも誤差なし……ジャスト、出ろッ!)

エアシャカールが獰猛に飛び出した時、
場内の誰もが「またか」と嘆息した。
いつもの暴走だ、体力が続くわけがない。

(とか、浅ェこと思ってンだろうなァ)

だが彼女はペースを崩さずかえって加速し、
嘆息をどよめきに変えていく。

(この展開になることは確定してんだ。
逆算してスタミナつけまくったっつーの!)

幾度も重ねたシミュレーションが
たったびとつの『式』を導き、そして──

「証明終了だ、バァカ!」

予想外の結果に罵声まで飛び交う場内で、
エアシャカールだけが──嘲笑っていた。