反戦機運の高まりを抑えるはずが、逆効果となるかもしれない。ロシアがウクライナ侵略を開始してから9日目の5日、ロシアの通信監督当局はSNSのフェイスブックとツイッターへのアクセスを遮断すると発表した。2月24日の侵略初日にウクライナのニュースサイトを皮切りに、既に5000以上のサイトを遮断しているという。5日の米ニュースサイトVOXなどが報じた。
 米カリフォルニア大アーバイン校のケイ法律学教授が「検閲という言葉は生ぬるいほどだ」という厳しい情報統制で、セキュリティー調査会社トップ10VPNのミグリアノ調査責任者は「ネット接続の点ではイランや中国レベルの国が新たに出現した感じだ」と話した。
 だが、今回の措置は逆にロシアの首を絞める可能性があるという。実際、ウクライナは大手SNSにロシアでのアクセス遮断を要請していたが、その理由は「情報をブロックされることで、ロシア国民の政府への圧力の掛け方が変わることが期待できる」からだという。同教授も「これは奇妙な“皮肉”だが、ウクライナはSNS陣にロシアでアクセス不能になるよう要求し、ロシアはその要求通りにしたことになった」と評した。
 ロシアはニュースサイトだけでなく、自国通貨ルーブルが暴落した2月28日から、多くの経済関連のサイトも遮断。米政府のサキ報道官は4日、今回のロシアの措置について「深く憂慮している。これは民衆から情報を遮断しようとする試みの一部だ」と非難した。
 ロシア国内でも今回の侵略に対する反感は強く、2日時点で、ロシアで反戦を訴えた50都市の計約7000人が逮捕、拘束された。同日は、反戦プラカードを手にウクライナ大使館へ花を手向けに行った小学校低学年の3人の児童も連行され、護送車に押し込められたと報じられ、物議を醸した。(写真はAP)