トヨタといえば、均質な製品を大量に生産するトヨタ生産方式や、カイゼンといった言葉が有名で、
まさか手作りされるクルマがあるとは多くの人が想像していないだろう。
ところがセンチュリーに関しては、まさに人が手で組み立てているのである。
わずか4人の熟練工が出来上がった部品を丁寧に組み立てていくさまは、
とても現代の自動車生産工場とは思えない。
100年も前に行われていたような自動車製造の仕方を今日まで残すことにより、
物づくりの原点を見直す機会をもたらす。
大量生産によって物が氾濫すると、物のありがたみが忘れられがちになる。
新型センチュリーの価格は1960万円だが、高価という以上に、
人が手で作った物のありがたみをその価格に見ることができるのである。
今日、100円ショップで手に入れられるもので事足りることもあれば、
高価でもよい物を永く使い続ける喜びもあることをブランド品は教えてくれる。
トヨタという自動車メーカーの中に、そうした対極の価値を知る機会が残されていることは、
世界でもまれにみる状況であろう。
中国人や韓国人には絶対造れない、センチュリーの存在は、日本人にとって誇りであり、
掛け替えのない宝といえるのではないだろうか。