>>671
 働かなくても健康に文化的に最低限度の生活ができるとしたら、消費者と生産者のどちらを選ぶだろうか。
他人と同じ生活を求めて生活基本金の制度ができたはずなのに、いざ同じになると次は「市民に労働の保証を」「生活基本品UP」といった消費者デモが起きる。
生活の心配がなくなるなら一日中のんびり過ごしてもかまわない。それでも人は仕事を探す。
あり得そうな未来の描写が妙にリアリティを持つので、この本を手にする読者はきっと今の自分の仕事が未来でどうなるかを考えることだろう。
働くことの本質を考えさせられる一冊だ。

 本作は双葉社web文芸マガジン「カラフル」にも掲載されており、電子書籍化も決まっているが、ぜひ単行本を手にすることをおすすめする。
内容はもちろんこだわりを感じる洗練された装丁、装画も楽しんでいただきたい。

出版社:双葉社
書名:未来職安
著者名:柞刈湯葉
定価(税込):1,512円
税別価格:1,400円
リンク先:http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24106-8.html

 西日本新聞 読書案内編集部