松田 卓也 茂木さんが良いことを言うと言った理由は、機械超知能と人間の知能は本来的な性質が違うと言うことです。それは感覚器官が圧倒的に異なるからです。人間は5感しかありませんが、機械知能あるいはロボットはいろんな種類のセンサーを備えることができます。私はこれを百感と言っています。このように人間と機械は感覚器官が異なるので、考え方感じ方も全く異なるはずです。

人間および動物の頭脳の役割は、視覚や聴覚等を通じて入ってきた情報を処理して、それで筋肉を動かして行動することです。脳は基本的に筋肉を動かすための装置なのです。論理的思考等は、ほぼ人間のみに見られる特殊な1部の機能にしか過ぎません。

筋肉を動かすと言う観点から見れば、脳の処理速度は極めて速いです。例えばピアノを弾く、ボールを打つといった動作を考えてみればわかることです。これをロボットでプログラミングすれば、極めて高速な処理が要求されるでしょう。もっともこのような行動は大脳だけではなく小脳、大脳基底核など含んだ処理速度です。

人間の大脳皮質は階層構造をなしています。その最上部が意識を担っています。脳の動作の大部分は無意識の部分で、これは膨大な並列操作をすることにより極めて速いです。意識が処理できるのは数100ビット毎秒ですが、これは脳の機能のほんの1部にしか過ぎません。

人々は人工知能でイメージするのはこの意識の部分つまり論理的思考の部分です。これをコンピューターで実現しようというのが古典的な意味の人工知能です。現在deepラーニングなどでシミュレートしようと言う脳の機能は、視覚などの無意識の部分です。松尾さんの言う子供の知能です。

機械知能と人間の知能は、感覚器官の違いにより大きく異なるので、比較しても意味がないと言う茂木さんの意見に賛成です。