ひとが減り、いなくなる 「消えゆく」南牧村の格闘


1/15(火) 15:43配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190115-00000055-asahi-soci


夕暮れの南牧村=2018年12月12日、群馬県南牧村


■なんもく物語

 見渡せば、人、人、人。

 記者は、そんな東京に住んでいる。

【写真】村役場の入り口に掲示されている人口と世帯数=2018年12月12日、群馬県南牧村

 JR山手線・京浜東北線にできる新駅の名前が「高輪ゲートウェイ」に決まった。JR東日本は、羽田空港とのアクセスの良さを生かした再開発を進め、国際交流の拠点づくりをめざしている。新駅はその中核施設との位置づけだ。

 ゲートウェイ。つまり、玄関口。海外からの旅行客がなお増え、巨大ビルがいっそう立ち並び、観光にもビジネスにも、さらなる人、人、人。

 そう思わせるニュースを、そんな世界とは縁遠い場所で聞いた。

 群馬県南牧村。なんもくむら、と読む。

 日本でもっとも高齢化が進んでいる、という。

 日本でもっとも消える可能性が高い、という。

 ロイター通信が「高齢化、縮小化との戦いのフロントライン」と表現すれば、カナダのCBCテレビは「世界で一番高齢化が進んだ国で、一番高齢化が進んだ自治体」と紹介した。特集の見出しには、同じ言葉が使われた。

 「消えゆくムラ」

 人口1875人。6割超はお年寄りだ。

 ひとが減る。ひとが消える。自治体がなくなる。

 人、人、人の街に住んでいると、正直、実感がわかない。

 でも、そんな村が都心から100キロほどのところにある。南牧村を知りたくて、10日間、腰を据えて取材することにしたのだった。

 紙袋に着替えを詰め、新幹線に乗った。東京から群馬県で最大の都市、高崎へ。駅でレンタカーを借りて走ること1時間。村に入った。