脱線:憧れ編(憧れはあこがれのままが一番美しい)
ゴールドマンディーリングルーム自席
ルルル・・・・
私、(外線からだ・・)
アシスタント、「ゴールドマン(快活に)」
今田、(クライアントさんかな?)
アシスタント、「今田さん、渋谷さんです」
今田、「(シブヤ?、何だろう?)おうッ。どうした?」
渋谷、「今田さん、今大丈夫ですか?」
今田、「うん。いいよ。あっ、外から?携帯にかけ直すよ」
渋谷、「おねがいします」
・・・・・・・・・・・・・・・
今田、「どうした?」
渋谷、「ご相談したいことが・・・」
今田、「うん。いいよ。どうした?」
渋谷、「今田さんの会社で働けないでしょうか?」
(この相談には伏線がありまして。渋谷は大学卒業後三菱地所で 4 年勤務して同じ大学の好で私
に 2 年前に転職の相談がありゴールドマンの不動産部門に推薦して入社した経緯があります。渋
谷はゴールドマンの証券会社で働きたかったのですが彼の性格や前職の延長線上もあり不動産
部門に推薦したのです)
今田、「渋谷、ゆかりちゃん(長女)が生まれたばかりじゃないか。裕子さん(奥様)に相談したの
か?」
渋谷、「まだです」
今田、「ダメダ、だめだ。裕子さんはお前が希望の外資に転職出来て喜んでいたじゃんか。何が不
満だあ?。給料か?幾ら貰ってる?」
渋谷、「2,200 万です」
今田、「いくつだっけ?」
渋谷、「28 です」
今田、ボーナスは別だろう?」
渋谷、「はい。すみません。別です」
今田、「少なくは無いんじゃないか?。何かいりようか?」
渋谷、「給料に不満があるんじゃないんです。証券にやっぱり行きたくて」
今田、「お前が証券会社出身ならこっちに呼んだけど。はっきり言うぞ。こっちは渋谷が思っている
程魅力はない。特にディーリングは。外野からは華やかに見えても物凄く地味だし孤独だ。ディー
ラーは相場が戦争なら最前進で戦う兵隊さんと同じだよ。渋谷は俺と同じコースで育って来ている