>>6続き
と、男性は調書で述べている。また、いずれの事件でも宮崎被告が運転していた車には女性の同乗者がいたが、彼女は調書で、宮崎被告が今回起訴された事件以外にも、危険な運転を繰り返してきたことを明かした。

「接触の恐怖があったが、被告は怒ると手がつけられなくなり、暴力をふるわれることもあったので、注意しなかった。運転席から顔を出して大声で何か言っていたが、こうした出来事はしょっちゅうだったため、何を言っていたか記憶にない」(同乗者の調書)

「平成31年に知り合ってから被告は運転時に、蛇行や急ブレーキなどで後続車を止めたりすることが何度もあった。高速では5〜6回か、もしかしたら10回くらいかもしれない。一般道をあわせると数はわからない。車を止めて相手のところに文句を言いに行く時、先に私におりて撮影するように言っていた」(同)
「やられたら何倍もやり返してしまう……」

一歩間違えれば死傷者の出る大事故につながりかねない、あおり運転。危険な行為を繰り返していた理由について宮崎被告は「自分の思いを分かってほしかったからだ」と語った。被告人質問では、マスクからフェイスシールドにつけかえ、声も聞き取りやすくなる。

「きっかけとしては、事件前、自分が追い越し車線を走っていたら、走行車線から相手の車が急に車線変更してきて、自分が急ブレーキを踏む、そういったこと、何度かありました。その場は立ち去ったんですが、同じことされたら嫌な思いをすると思い、分かってほしかった、分かってもらうために割り込み、ブレーキ……するようになった」(宮崎文夫被告)

今回の一連の事件でも、前方を走っていた被害者らの車が、車線変更してきたことに立腹、この気持ちをわからせるためにと行った行為だったようだ。しかし本人も「今振り返ってもやっぱり、やられたら何倍もやり返してしまう……」と語るように、過剰に“分からせよう”としてきたらしい。

1年近くにおよぶ勾留生活により、公判までに様々なことを考えたのか「怖い思いをさせてしまい申し訳なく思っています」と、被害者らに深々と謝罪する様子も見られた。反省を深めたように見える被告に対して、質問は続く。

昨年の報道で“あおり運転”そして宮崎被告の存在が大きく報じられたことを、質問者はもとより、宮崎被告自身も重々理解しているようだ。