近鉄の広報担当者は、取材に「8月12日、金曜日、21時ごろの動画です」と動画の内容は事実であると認めた。

 電車は近鉄名古屋駅に停車中で、午後9時4分発、津新町行きの急行だった。

 状況ついては、「お客様が車内通報装置を押されたので、乗務予定だった車掌が現場に赴いて確認をさせていただきました。運転手が乗務する前でしたので、先頭車両の前のところに前照灯というライトがついてまして、それがついていない状態だったんですね。そのライトをつけた状態で、お客様が撮影をされたいということで、そのライトをつけるようにご依頼いただきました。また、左右に乗車専用ホームと降車用ホームがありまして、扉が開いていたのは乗車用ホームの側だったんですけど、ライトをつけた状態の車両を降車側から撮られたいということで、降車側の扉を開けてほしいとご申告をいただきました。個別の要望にはお応えしないので、それについてはお断りさせていただいて、車内通報装置は車内で異常が発生した際、緊急時に押していただくことで乗務員に異常の発生を知らせていただくものですので、車内通報装置の使用目的と、それ以外での使用をお控えいただくようにお客様にご説明させていただいたということです」と説明した。

 車内通報装置は「例えば走行中に車内でこのボタンが押されたらすみやかに停車します。何が起こったか確認する必要がありますので」という乗客の命にかかわる大事なボタン。それを個人的な撮影のために押されたというわけだ。

 この騒動で、電車は「1分20秒遅れで出発しています」と予定時刻に発車できず、他の乗客にも影響が出た。

 担当者は「車内通報装置というのは、お客様が異常を発見された際にお知らせいただく装置ですので、異常が発生された際にはお知らせいただきたい」と訴えた。