B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV:Hepatitis B Virus)の感染により生じる肝臓の疾病である。
■疫学:
世界の人口70億人中、4億人程度が持続感染していると推定される。既往感染者(過去にB型肝炎に感染したことのある人)は、20億人程度(3〜4人に1人)いると推定される。
日本ではB型肝炎ウイルスに持続感染している人が100万人〜130万人いると推定される。

■感染経路
主に血液を通して感染する。以下に主要な感染経路を示す。

1.母子感染
母親がB型肝炎ウイルスに感染している場合、出産時の産道出血により子供に感染する。
日本では1986年に母子感染防止事業が施行され、以降の出産時における母子感染は、ほぼ無くなった。
2.輸血
B型肝炎ウイルスを含む血液の輸血により感染する可能性がある。
日本赤十字社の血液事業では、献血にあたりB型肝炎ウイルスのスクリーニングを実施しているが、感染初期の血液等、スクリーニングをくぐり抜ける血液が存在し、今なお年間数例の感染が発生している。
3.注射針の連続使用
B型肝炎ウイルスを含む血液が付着した注射針の連続使用、および針刺事故等で感染する可能性がある。非合法薬物の投与で使用する注射針でも感染する可能性がある。
集団予防接種による注射針の連続使用により感染した人については、国が責任を認め、必要な証拠の提出、裁判手続きの上和解が成立すれば、国から給付金が支給される。
4.タトゥー、ピアス
近年、再流行しているタトゥー(入れ墨)、ピアスの穴開けの器具が使い捨てでない場合は、感染する可能性がある。
5.性行為による感染
オーラルを含む性行為で感染する可能性がある。上述の母子感染、輸血等による感染が殆ど無くなった現在、主要な感染経路となっている。
近年、大都市圏で流行しているB型肝炎は、大半が欧米由来のジェノタイプAであり、慢性化することがある。