ハーバード大学医学部の関連病院Brigham and Women's HospitalのDr. Scott D Solomonらの研究報告によると、低炭水化物食および高炭水化物食はいずれも死亡率を高め、炭水化物の摂取量をほどほど(50–55%)にすると死亡リスクは最も低減する。
亦、低炭水化物の食事パターンではたんぱく質と脂質の摂取比率が必然的に高まるが、動物性よりも植物性由来の食品に置換えた方が死亡リスクを低下させる効果が高いようだ。
The Lancet/Public Health
August 16, 2018
Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis

<研究内容>

主要評価項目: 全死因死亡率
食事内容が曖昧、又は、1日のカロリー摂取が極端(男性<600kcal or >4200kcal;女性<500kcal or >3600kcal)な参加者は除外した。

研究チームは、アテローム性動脈硬化リスクにつてのコホート研究 “Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC)” に
参加した米国4地域(Forsyth County/North Carolina;Jackson/Mississippi;Suburbs of Minneapolis/Minnesota;Washington County/Maryland)に在住の15,428名(45–64歳)を対象に25年間の追跡調査を行った。

次いで、
ARIC研究を含むトータル8件コホート研究のメタ解析を行った。
この中にはLagiou et al,Trichopoulou et al、Fung et al/NHS & HPFS、Nilsson et al、Nakamura et al(NIPPON DATA80)、
及び、発展途上国18ヶ国に住む35〜70才の男女135,335名を対象にしたProspective Urban Rural Epidemiology (PURE) studyが含まれる。

ARIC研究では25年間の追跡調査中に6,283人が死亡した。
ARICを含む8件のコホート研究全体では、参加者432,179人の内40,181人が死亡した。

ARIC研究では、多変量調整後に炭水化物の摂取比率(平均48.9%、SD9.4)と死亡率の間にU字型の関連があり、死亡リスクは炭水化物の摂取比率50~55%で最も低かった。